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令和5年度 海外展開に向けたインフラFS 補助金
過年度採択事業者レポート
R3 エネ補助 ユーティリティ

米国・下水再生水向けデジタル事業モデルの
実現可能性調査事業横河電機株式会社

採択事業レポート: 横河電機株式会社

1インフラ/エネルギーインフラFS事業の概要

AIおよびデジタル応用技術を導入することで、既存の下水処理施設には運転コスト低減を、今後新規に導入される飲用化処理施設には運転支援を提案した。下水処理および飲用化処理施設の全体最適を、事業者の計画に沿って段階的に達成していく事業アプローチをモデル化し、定量的な導入効果を検証してカリフォルニア州内で認知を図った。またカリフォルニア州を含む、影響力のある4州を選定し、先導的な事業者へ上記事業アプローチを紹介すると共に、同事業者らにより立案された計画を把握した。現地事業者の計画に沿った市場参入計画を構想した。

採択事業レポート:横河電機株式会社日米共同推進者の経済産業省表敬
写真提供:横河電機株式会社

2事業の競争優位性など、特にアピールしたい特徴

競合他社が提供するUF膜、RO膜および紫外線を用いた促進酸化それぞれの運転に対する制御ロジックは、設計時に最適な制御であっても、将来に発生する水質変動、膜や機械設備の経年変化に直面した際の最適化に対応できない。ユーザ側で、運転ノウハウを有する熟練した運転管理者が対応する前提となっているためだ。提案したAI制御は、当該水処理システムごとに未来値を予測することで最適値を導出でき、より自律的に制御ロジックへ反映できる。

採択事業レポート:横河電機株式会社実証プラント(米国カリフォルニア州)
写真提供:ラス・ヴァージェネス水道局

3進出先の国や地域のニーズ、抱える課題と解決施策

一般的な既存の下水処理施設を運営する事業者は、新規に導入するUF膜、RO膜及び紫外線を用いた促進酸化に対して経験がない。横河のシステムは事業者の水処理システムの稼働データから傾向を分析し、制御機器に応じたモデル作成、シミュレーションの実施、制御機器ごとに未来値を予測し、最適地を導出する。その制御ロジックは、自律型運転または半自律型運転を実現し、省エネルギー及び低ライフサイクルコスト(Life Cycle Cost:LCC)に寄与する運転を実現する。また同時に、過剰な設備コスト・運用コストの低減といった現状課題の解決に寄与する。

4インフラ/エネルギーインフラの導入により見込まれる事業の効果

採択事業レポート:横河電機株式会社 ラス・ヴァージェネス貯水池(米国カリフォルニア州)
写真提供:ラス・ヴァージェネス水道局
1

3のニーズや課題に対する、事業の解決施策と効果

既存設備の効率化として省エネルギーや省力化、新規導入技術に対しては運転支援といったソリューションを活用し、造水コストの低減効果を見込んでいる。さらに下水再生水の飲用化を促進することにより、環境負荷を軽減した水循環インフラシステムを実現する。

2

事業効果を示す指標などを用いた定量的な説明

既存の下水処理施設へAIおよびデジタル応用技術を適用することにより、10%から24%のエネルギー削減を試算した(水質および水量変動があるため、負荷に応じた試算値の変動を含んでいる)。さらに同施設から放流される処理水質の要求値も満たしている。この削減意義は当該事業者より高く評価され、米国再生水学会においては、Transformational Innovation Awardの表彰を受けた。

3

見込まれるCO2削減効果

調査対象としたカリフォルニア州の某下水処理施設におけるデジタル応用技術の適用では、 CO2発生抑制量は、水量 1 万 m3/日あたり38 トン CO2/年だった。
なお、米国における電力供給事情は地域特性が大きく、選定される事業体及び実施機場固有のCO2排出係数を考慮する必要がある。

4

本事業範囲内における定量的な数値の最終的な見込み

CO2削減効果は、カリフォルニア州におけるFSフェーズ及び10年内の再生水の飲用化事業全体で、水処理システムの最適操業による直接的な効果は8,000トン/年と試算される。さらに、導水事業への依存度25%削減による効果は、8~14万トン/年、代替水源の候補として割高な海水淡水化への依存を無くし、13~21万トン/年の効果を見出せると考えている。

5

FS事業実施後の事業進展や受注実績の有無

NEDO国際実証要件適合性調査を実施中。

5本事業における今後の計画

日本及び米国の実証支援事業等を活用して、提案技術の実装と効果の検証を展開している。
NEDO国際実証での想定は以下としている。

  • 2022年度   国際実証要件適合性調査
  • 2023年度   実証前調査
  • 2024ー25年度 実証調査
  • 2026年    ビジネス開始
採択事業レポート:横河電機株式会社

6事業の水平展開の可能性

他国への波及性については調査を展開中。日本における下水再生水の飲用化に対する需要はないが、既存の下水処理施設の AIおよびデジタル応用技術による制御は水道事業が直面している課題、長期的な設備維持コストや人材不足などの解決に有効な手段であると認識している。他国への展開については、豪州、シンガポールといった米国カリフォルニア州で認知された技術の波及効果が大きい国を中心に、アセアン地域への波及可能性を探っている。

7質の高いインフラ/エネルギーインフラFS事業の補助金を活用したメリット

新規事業を創出する目的で、市場調査および現地パートナーの探索に補助事業を利用することにより、費用負担を軽減することができた。
政府のバックアップにより調査対象事業者からの信頼が向上し、現地事業者への報告会やワークショップ等において、参加者からの客観的な調査意義を言及いただいた。官民連携したチーム日本として売り込むことができ、現地での調査ネットワークを効率よく拡大することで調査年数の短縮が図れた。
本事業を通じ水事業の重要性を再認識いただき、経産省および在外公館と連携した政府間覚書(本件においては日カリフォルニア州間の気候変動に係る技術協力)や経協インフラ戦略会議に反映することができ、補助事業後の日米実証事業に発展させることができた。